着々と物件探しを進め、ついに気に入った物件を見つけることに成功したAさん家族。住宅ローンの事前審査や購入に関する知識も学び、検討も最終段階に入っています。
購入を正式に申し込むまであと一歩というところまで来ているAさん家族ですが、高額の買い物である中古一戸建ての購入とあって、最後の踏ん切りがなかなかつかないというのが正直なところ。「もう少し価格が安くなったら、すぐにでも決められるのだけど」と考えています。
すると友人から、「値引き交渉をもちかけてみたら?」と言われました。中古一戸建ての購入で値引き交渉を成功させるには、どうすればいいのでしょうか。
そもそも値引き交渉ができない物件もある
中古一戸建ての物件を購入するにあたり、値引き交渉を行うことは可能です。ただし交渉が必ず成功するとは限らず、最終的に値引きにならない可能性も十分にあるという点は、きちんと理解しておくべきでしょう。
一般的な傾向でいえば、値引き交渉が成功しやすいのは「売れ残っていて、もう値引きしないと売れないだろう」「この際、値引きしてでも売りたい」と売り主が考えるような物件であることが大半です。
対して、問い合わせが多数入っているような人気の物件や、売りに出してまだ間もなくこれから十分引き合いが来る可能性がある物件などは、値引きが成功しづらいと考えられます。なぜなら、そうした物件は値引きしなくても売れるからです。
値引き交渉をもちかけるのであれば、その物件が「売り主や不動産会社が『このままでは売れない』『早く売りたい』と焦りを感じているかどうか」という点に着目するのが重要です。
中古一戸建ての値引き交渉を成功させるポイント
たとえ売り主や不動産会社が焦りを感じているような物件であったとしても、ただ「値引きしてください」と言えば値引きしてもらえるというわけではありません。値引き交渉を成功へ導くためには、おさえておきたいポイントがあります。
大前提となるのは、「本気で購入する気持ちがある」という気持ちをきちんと表明することです。決して冷やかしではなく、「値引きに応じてもらい価格面で合意に至れば、必ず購入を決める」という意思を合わせて伝えることで、売り主も初めて値引きを検討の俎上にのせようという気になるものです。
とはいえ、売り主にとって値引きはデメリットになること。その分を補う要素として、「自己資金を多く用意している」「会社員で高年収である」といったプラス材料を用意しましょう。あらかじめ住宅ローンの事前審査を済ませておくと売却の確度が上がるため、交渉がより有利になります。
中古一戸建ての値引き交渉を成功させる心構え
不動産の取引価格には相場があり、特別な事情がない限りはその相場の範囲を大きく超えるような値引きは成功しないものです。自分自身が相場観をつかみ、相場にてらして購入価格が高いのかそうでないのかを理解したうえで、値引き交渉に臨みましょう。
なかには、とにかく値引きしてもらおうと思うあまり、物件の評価を不当に下げるケースがあります。しかし、「中古物件なのだから、安くして当たり前だろう」「築年数も経っていて設備も古く、どうせ高く売れない」といった態度は厳禁です。
売り主にとってその物件は大切な資産ですし、長年住んだ思い入れのある建物かもしれません。そうした“財産”をいたずらに貶めても相手の信頼を失い、売買契約自体が成立しなくなることも考えられるのです。
値引き交渉をもちかけるタイミングも大切です。実物も見ずに問い合わせの段階から値引きをもちかけても、「この人は真面目に買う気がない」と思われるだけです。値引き交渉は、購入の申し込みを前提としてその直前に行うものと考えましょう。
おわりに
Aさん家族のような買い手から見れば、購入価格は「高額を投じて行う大きな買い物だから、少しでも安く済ませたい」という意識ですが、売り主の方にしてみれば「高いお金で買った価値ある資産を、少しでも高く売りたい」と思うものです。
そこで行われる値引き交渉は、お互いに真剣なもの。やみくもに値引きを要求するのではなく、相手の気持ちや状況を尊重し、礼儀やマナーを守って交渉に臨むことが、値引き交渉の成功率を高めるためにとても重要なポイントといえるでしょう。