リフォーム前の中古マンションで「これだ」と思う物件を見つけたAさん家族は、売買契約も無事締結することができました。あとは、住宅ローンの本審査をパスして融資を受け、購入代金の残金を支払う残金決済を済ませれば、物件の引渡しが待っています。
しかし、中古マンションの購入に際しては、引渡しの前後で行うべきこともいろいろありますし、引き渡し後にリフォーム・リノベーションを実施するAさん家族のようなケースでは特に注意が必要となることもあります。リフォーム前の中古マンションの引渡しを迎える前に、そうしたことを理解しておきましょう。
引渡し前にやってはいけないこと!
中古マンションを購入する場合、住宅ローンを借り入れて購入費用を支払うことが大半です。その場合、物件の売買契約を済ませたら住宅ローンの本審査を受けることになります。そして本審査を通過し、無事借入金を受け取ることができれば、そのお金を残金支払いに充て、物件の引渡しを受けられる状態になります。
Aさん家族のように契約を済ませて住宅ローンの本審査の結果通知を待っている期間、あるいは本審査を通過して融資金額が振り込まれるのを待っている期間は、「引渡しまであと少し」と安心しているかもしれませんが、油断は禁物です。
この期間にほかのローンを借り入れたり自動車ローンを組んだりとほかの借金をしてしまうと、住宅ローンの借り入れができなくなる可能性があります。また、以前から借りているローンなどの返済を滞納することも、住宅ローンの借り入れに影響する可能性があるのでNGです。
せっかく契約を結んでも、住宅ローンの融資を受けることができなければ購入することができなくなってしまいます。契約を結んだからと気を緩めることなく、引渡しまでの間はくれぐれも行動に注意しましょう。
契約時と相違がないか確認する!
中古マンションを購入する場合は、引渡し日の前に「現場確認」をすることがあります。これは、売り主や不動産会社の担当者立ち会いのもとで、物件が契約条件と合致した状態になっているか、事前に約束していた修繕がきちんと対応されているかといったことを確認する場です。
中古マンションの売買契約時には契約書と合わせて、売買契約の対象となる設備を明記した「付帯設備表」や契約時点で売り主が把握している物件状況が記載された「物件状況報告書」といった書類を受け取っていることがよくあります。現場確認の際はこれらの書類を持参して、一つひとつ付き合わせて確認しましょう。
もしも物件の現況が契約内容や書面と異なることがあれば、売り主と交渉してその箇所を修繕するといった対応を求め、引渡しを受けるまでに問題を解決する必要があります。
残金決済と引渡しは同時に行う!
購入代金の残金を支払う残金決済は、住宅ローンを借り入れる金融機関の営業所で行われることが多いです。残金決済を無事に終えたら、買い主は売り主から物件の鍵を受け取って「物件の引渡し」となります。Aさん家族のように、購入した物件でリフォーム・リノベーションを実施する場合は、この段階から工事の着手が可能になるわけです。
ここで気をつけておきたいのは、「残金決済と引渡しは同時に行う」ということです。通常の不動産売買契約では、代金を全額支払った段階で所有権が売り主から買い主へ移転しますから、その場で引渡しを受けることができます。しかしなかには、残金決済が済んだのに引渡し日を延期したいと要求されるケースがあるのです。
引渡し日が延びればリフォーム・リノベーションの着工がそれだけ遅れますし、最悪の場合は引渡しまでの間に物件が損傷を受ける可能性も考えられます。そのようなことにならないよう、契約時には引渡し日を必ず確認し、残金決済と同時に引渡しを受けることを徹底しましょう。
おわりに
中古マンションの売買契約を終えたときの安心感は大きいものでしょう。しかし、住宅ローンの融資を実際に受けて残金決済を終えるまでは、気を引き締めて事に当たりましょう。
中古物件の場合、物件の状況を引渡し前に確認するというのは意外と知られていませんが、売り主が居住中であったケースでは転居して家具などがなくなって初めて発見される不具合もありますし、空き家の状態が長く続いていた物件では思わぬ劣化が進んでいることも。
安心して引渡しを受け、住み心地のいい家を手に入れるためには、引渡し前の現場確認もおろそかにせず、すみずみまできちんと確認しておきましょう。