念願のマイホーム購入に向けて、リフォーム前の中古マンションの物件探しを進めてきたAさん家族。幸い、値引き交渉にも成功し、住宅ローンの事前審査も無事済ませることができました。そうなれば、いよいよ売買契約を締結し、住宅ローンの正式な申し込みへと進むことになります。
住宅ローンの事前審査を受ける前には、融資を受けることができるかどうかと不安を感じていたAさん家族ですが、事前審査を通過したことでその不安も解消されました。しかし住宅ローンには本審査があり、事前審査を通過しても本審査も通過するとは限りません。
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本審査が通らない理由3つ
住宅ローンでは、「事前審査」と「本審査」という2回の審査を通じて金融機関が貸し出しの可否と貸出金額を決定しますが、事前審査は通過しても本審査が通らなかったというケースは珍しくありません。その理由としてよくみられるのは、次の3つです。
中古マンションで未登記がある
中古マンションでは新築されたあとに増改築されることがありますが、増改築された部分の登記が済んでいないケースがあります。この状態では、金融機関がその物件すべてを担保にすることができず、物件の担保価値が下がってしまうということになります。
中古マンションの価格が相場とかけ離れている
個々の物件の売買価格はさまざまな条件によって相場を多少上下することがあります。それでも、価格が相場とあまりにも大きくかけ離れていると、「購入価格」と「担保価値」に大きな差が生じ、金融機関が損をしてしまうリスクがあります。そうなると、住宅ローンの融資を受けられなくなるか、融資額が減ってしまうことがあります。
修繕積立金が積み立て不足
マンションの定期的な点検・修繕は、建物の寿命に大きく影響する要素の一つです。その定期的な点検・修繕と、十数年に一度必要となる大規模修繕を行うために必要となるのが「修繕積立金」。修繕積立金が不足していれば、そうしたメンテナンスを行うことが難しくなると考えられ、担保価値が低くなってしまうのです。
中古マンションの住宅ローン審査で大事なポイント6つ
用意できる頭金の金額
借り入れ希望者が用意できる頭金が大きければ、それだけ借入額を減らすことができ、返済の負担が軽減されます。金融機関にとっては、借り入れる方の返済負担率は貸し倒れリスクにつながりますから、頭金の金額の影響は小さくありません。
借り入れ希望者の健康状態
住宅ローンの返済は、借り入れる方が健康で働き続けられることが前提です。万一の場合にローンの返済に充てるための団体信用生命保険(団信)も、健康でないと加入することができず、住宅ローンの借り入れが難しくなることも。
購入する物件の築年数
築年数は、物件を売却する際の価格設定に大きく影響する要素であり、物件の担保価値を左右します。住宅ローンの返済が滞り、金融機関が物件を売却して返済に充てることになれば、物件の築年数が重要なポイントになってくるというわけです。
購入する土地・物件の権利関係
住宅ローンの借り入れ名義と、物件所有者の名義が同じであるかどうか、購入する物件について借地権や抵当権といった権利関係がクリアされているかどうかといった点は、担保価値に重要な影響を及ぼすポイントです。
購入する物件の耐震性
物件の耐震性は、物件の資産(担保)価値に影響するのはもちろん、「フラット35」という住宅ローンを利用する場合には一定の基準をクリアする必要があるという点でも関係する要素です。
購入する物件の適法性
増改築された物件では、法律で定められた建ぺい率や容積率に違反してしまっていることがあります。それが判明すれば、住宅ローンの融資自体を受けることができなくなります。新築時の適法性だけでなく、現在の状態の適法性も確認する必要があります。
おわりに
住宅ローンは、借り入れる方の年収や勤務状況といった「支払い能力」をベースに、これから購入する予定の物件を万が一の場合の担保にして借り入れる借金です。高額を貸し出す銀行などの金融機関にとっては、貸したお金を回収できなければ損害になりますから、確実に回収するべく厳密に審査を行います。
事前審査を通過すると安心して「もう大丈夫」と思うかもしれませんが、本審査を通過して最終的に借り入れるまでは油断は禁物です。特に中古マンションの場合、担保価値が低く評価されて審査に影響する傾向がありますから、最後まで気を抜かず事に当たりましょう。