物件探しに実物の見学、購入価格の値引き交渉や住宅ローンの事前審査など、中古一戸建ての購入に向けて数々の行程を一歩一歩進めてきたAさん家族。購入を申し込んで住宅ローンの事前審査も済ませ、次は売買契約を締結して住宅ローンの正式な申し込みというところにさしかかりました。
マイホームの購入には住宅ローンを利用するのが当たり前だと考えているAさん家族は、中古物件の購入であっても新築物件と同じように住宅ローンを利用できると思っています。けれども、新築と中古では、住宅ローンにも違いがあるのです。
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新築一戸建てと中古一戸建ての住宅ローンの違い
新築の物件を購入するときと同じように、中古一戸建ての購入に際しても住宅ローンを利用することができます。とはいえ、まったく同じような条件で利用できるかといえばそうではなく、中古物件の購入ならではの違いはあります。
新築物件を購入する場合の住宅ローンは、借り入れを希望する方の年収や勤務先などが返済能力を担保する重要な要素となります。一方で、中古物件を購入する場合はそうした属性情報に加えて、物件自体の担保価値も必要とされます。
たとえば、借り入れ希望者が大企業にお勤めで高年収であっても、購入する中古一戸建ての資産価値が低いとみなされれば担保としての価値が疑問視され、審査NGとなることや融資額を少なくされてしまうことがあるのです。
同じ理由で返済期間を短く設定されることもあり、そうなれば月々の返済額がぐっと増えます。35年ローンであれば毎月数万円の返済であるものが、20年での返済を迫られれば月々10万円を超える返済にもなってしまうというわけです。
申し込みから融資実行までの流れについて
住宅ローンの申し込みは、基本的に売買契約を締結してから行うことになります。これは、売買契約を結んで物件の所有者になった状態でないと申し込めないためです。売買契約を結んだら、金融機関に住宅ローンの借り入れを正式に申し込みます。
申し込みを受理した金融機関は、住宅ローンの本審査を行うよう手配します。多くの場合は事前審査で借り入れOKの見込みがある程度ついているものですが、事前審査と本審査はあくまでも別物。住宅ローンを借りられるかどうかは本審査で正式に決まります。
本審査は早くて1週間、平均して2週間ほどかかります。本審査の結果、正式に融資可能となれば融資額や返済期間も決まり、最終的に融資が実行されます。
なお、中古一戸建ての物件は“早い者勝ち”の要素が非常に強く、気に入った物件があってもほかの方が先に購入の手続きを進めてしまって購入できないということが珍しくありません。そうならないよう、住宅ローンの申し込みに必要な書類をそろえるなど、準備は早めにしておきましょう。
審査で落ちてもやってはいけないこと
住宅ローンを借り入れるには、事前審査と本審査という2回の審査をパスする必要があることは前に述べました。事前審査でOKが出ると「これで本審査も大丈夫だろう」と考えるかもしれませんが、本審査で落ちてしまう可能性がある点には注意が必要です。
住宅ローンの審査で承認を得られないと住宅ローンを借りることができませんので、物件の購入も難しくなります。一生懸命物件を探して買う気になっていたのに住宅ローンの審査で実現しなくなってしまうとなれば、ショックが大きいでしょう。
そんなとき、「勤務先を大企業だと言ったら融資を受けられるかもしれません」「収入を証明する書類に少し手を入れたら…」などと、周囲にささやかれることがあっても、絶対に乗らないこと。文書の偽造は犯罪ですし、嘘を言ってまで大金の借金をするのは危険です。
おわりに
中古一戸建てを購入するにあたっては、住宅ローンの利用においてもおさえておくべきポイントがあります。この点を理解しておくと、物件探しにおける資産価値の重要性もよくわかり、住宅ローンの利用もスムーズに進めやすくなるでしょう。
とはいえ、住宅ローンは高額の借金であり、貸し出す側である金融機関の判断も慎重になりますから、残念ながら審査を通過できないということもあり得ます。そんなときでも悪しき方法には手を染めず、資金計画の見直しやほかの金融機関への相談などで、改めて購入への道を考えましょう。