自分や家族の希望に合致する物件も見つかり、住宅ローンの事前審査も無事通過したAさん家族は、いよいよ物件の正式な売買契約へと進もうとしています。大きな買い物であるマイホームの購入、何十年かけて返済する住宅ローンの借り入れを目前に控え、Aさんは期待と緊張と不安が入り交じる日々を過ごしています。
「せめてもう少し安くなったらいいのに」と考えていたAさんは、ある日会社の同僚から「家の購入は値引き交渉ができる」という話を聞きました。新築一戸建ての値引きは、どのようにすれば可能になるのでしょうか。
値引き交渉できない時期もある!
新築一戸建ての購入は、不動産会社の仲介を受けて物件の契約を進めるケースと、分譲会社や売り主個人と直接交渉を進めているケースがあります。いずれの場合でも、新築一戸建てを購入するにあたって価格交渉をすることは可能です。
その場合、窓口となっている担当者に対して話をもちかけることになります。特に建売住宅の場合は、値引き交渉を前提として価格設定をしているといわれることもあり、値引き交渉をして得になることはあっても、損をすることは基本的にありません。
とはいえ、価格交渉に際しては節度を守ることが大切です。「値引きしてもらって当たり前」という態度ではうまくいく話も進まなくなりますし、これから建てる住宅であればできあがりに対して不安をはらむことにもつながりかねません。
なかでも重視したいのが、値引き交渉をもちかける時期です。時期を間違えると、値引きに応じてもらえないばかりか、契約違反となり違約金を請求される可能性すらあるのです。
数百万円得する? 値引き交渉に適した時期とは
値引き交渉の基本的な前提として、「価格交渉は売買契約の締結前に行う」という点をおさえておきましょう。締結する売買契約は基本的に“絶対”であって、契約締結後に価格を変えることはできません。
タイミングとしては、購入を正式に申し込む直前がベストです。購入希望者は、購入を前提とした気持ちをもち、「値引きしてもらえたら購入を決める」というトーンで交渉を申し入れてみましょう。その際、予算や事情などの具体的な理由があれば、合わせて伝えたほうが売り主の方も検討しやすくなります。
加えて、「値引き交渉に適した時期」もあります。その時期とは、売り主が「ほかに買い手が見つかりそうにない」「少しでも売り上げを立てたい」と考える時期で、言い換えると「売り主が値引きを決断しやすいタイミング」ということでもあります。
買い手数多という状況であれば、売り主は値引きしなくても買ってくれる買い手を選ぶでしょう。反対に、その住宅が“売れ残り”のような状態であれば、値引きしてでも売り切りたいと思うかもしれません。
売り主が法人の場合、決算期などの「締め」のタイミングには売り上げ目標をクリアする必要に迫られていることも。そういう時期に「値引きしてくれれば購入する」と交渉すれば、価格交渉のテーブルについてくれる可能性が増えます。
値引き交渉を成功させるポイント
値引き交渉をもちかけ、値引きしてもらうことに成功するためには、ほかにもおさえておきたいポイントがいくつかあります。
物件の購入にあたっては「値引きしてもらって安く買う」以外にも、「同じ価格でオプションをつけてもらう」「設備のグレードを上げてもらう」といったように、さまざまな“お得”を求めるケースが散見されます。
しかし、そうした交渉をあれもこれもともちかけるのは、売り主の心証を悪くしてしまいます。値引き交渉をするならば、要求は値引き一本に絞りましょう。
そのほかにも、値引きを成功させるためのテクニックとしてよく知られている「端数を値引きしてもらう」「現金決済の額を増やす」といったものは、住宅にも有効となることが少なくありません。
おわりに
高額な買い物であるマイホーム、特に新築一戸建ての購入では、値引きしてもらうことができれば数十万円から数百万円規模の減額になることもあります。それだけまとまった額となれば、その後の負担もかなり軽くなります。
とはいえ、売り主側も「できるだけ高く売りたい」という気持ちで大切な不動産を売りに出しています。軽い気持ちで値引き交渉に臨むのではなく、あくまで真剣に購入を考える気持ちをもち、売り主や仲介する会社に対して誠実に対応するようにしましょう。