念願のマイホームを購入しようと、新築一戸建ての物件探しを始めたAさん家族。ハウスメーカーにあたってみたり不動産会社から紹介を受けたりすると、デザイン性の高い住宅や設備のグレードが高い住宅など、どの物件もよさそうなものばかりです。どの物件を見学しようかと悩むAさんは、友人に相談してみることにしました。
すると、すでにマイホームを購入している友人は、「物件見学の前に、その物件の周辺環境はチェックした?」と聞いてきました。友人曰く、物件のスペックも大事だけど周辺環境もとても大切だというのです。それはどうしてなのでしょうか。
周辺環境が大切な理由
住宅の間取りやスペックは、快適な生活を送ることに大きく影響します。満足のいく条件をそなえた新築一戸建てに住まうことができれば、大きな満足を得ることができるでしょう。そのために、間取りにこだわり、設備を厳選する気持ちは大切です。
しかし、人の生活は家のなかだけでは完結しません。日々の通勤・通学では交通機関や自動車を使って会社や学校に通うことになります。食事や日用品をそろえるための買い物にも出かけますし、休日には外出して遊ぶこともあります。
そこで関わってくるのが、周辺環境です。どんなにきれいで快適な住宅でも、駅から非常に遠い場所であれば通勤・通学に不便です。商業施設が充実した地域であっても人通りや車通りが激しすぎるような場所では、落ち着いて住めないことも。
自宅には自分たちで好きに手を入れることができますが、周辺環境は自分たちでは変えることができません。それだけに、すでに存在する周辺環境の状況というのは、入念にチェックしておく必要があるのです。
一戸建ては立地条件も大事なのか?
一戸建ての場合、周辺環境と合わせて立地条件も重要な要素です。今は周囲にあるのが低層住宅ばかりで日当たりのいい家であっても、将来近隣に高層マンションが建設されてしまったら生活は一変してしまいます。
そのような可能性を確認するためには、都市計画法によって定められた「用途地域」の種別も確認しておきましょう。用途地域の種別は、その地域にどんな建物を建てられるかということを定めたものです。
たとえば、「第1種低層住居専用地域」とされた地域では10mまたは12mまでの高さの建物しか建てられないため、周辺に高層マンションが林立するようなことは考えにくいでしょう。一方で、「商業地域」とされている地域では、将来的には周辺に商業施設などのさまざまな建物が建ち並ぶ可能性も考えられます。
こうした用途地域は、住み心地だけでなく資産価値にも影響します。ライフスタイルの変化に伴って住宅を売却しようと考える場合に、その立地条件や周辺環境は資産価値を大きく左右します。
周辺環境チェックの際におさえておきたいポイント
交通機関や商業施設、病院などの利便性、学校・塾や公園の有無やファミリー層の多寡といった子育て環境、騒音や道路の交通量、においや治安といった地域環境……周辺環境のチェックで確認しておきたい項目は多岐にわたります。
そうした周辺環境のチェックは、極力多くの時間帯や曜日で行うようにしましょう。昼間は明るい道路も、夜には照明がなく薄暗い通りになるかもしれません。平日は静かなエリアも休日には住民や観光客で賑わい、騒音や渋滞が激しくなることもあるのです。
もう一つ重要なポイントは、「家族のライフスタイル」です。会社への通勤ひとつとっても、自動車通勤なのか電車通勤なのかによって必要なものは異なります。買い物も、平日の会社帰りに寄ることが多い家族と、週末にまとめ買いする家族では、行く商業施設が違ってきます。
小さいお子さんもいるAさん家族のようなケースでは特に、家族全員の具体的な生活を思い浮かべながら、その生活に必要なもの・不要なものという観点をもってチェックしていくことが大切です。
おわりに
物件探しとなると、どうしてもその住宅自体のスペックにばかり目がいきがちですが、周辺環境が生活にもたらす影響はとても大きいものがあります。いざとなれば引っ越せばいいといっても、住宅ローンの返済を抱えた状態での引っ越しはそう簡単ではないでしょう。
「ターミナル駅が近い」「近隣に商業施設や病院がある」といったプラスの要素はもちろん、「近隣に倉庫があって大型車の出入りが激しい」「夜間の通行に不安がある」といったマイナスの要素も、きちんとチェックしておくことが重要です。